ごあいあさつ

 はじめまして。

 指定自動車教習所で副管理者をしている、産業カウンセラーの「ぴょん」です。

 ここでは、当ブログを立ち上げた背景について、記載します。

 ※背景が長いです。立ち上げの理由と目的へは下記をクリック(タップ)すると一気に飛べます。

メディア立ち上げの背景

 「神経発達症(発達障害)で薬を飲んでいるけれども、免許は取得できますか?」

 実はこういった質問が、自動車教習所の現場では増えてきております。

 まずは、20年近く前のお話をします。

発達障害者支援法の施行

 我が国においては、2004年に「発達障害者支援法(リンク先:文部科学省)」という法律が施行されました。

 この法律によって、発達障害者の早期発見や国・地方公共団体の責務などについて制定されることになりました。

 その3年後である2007年には、日本においてADHDに適応する薬(コンサータ)が承認され、そうした社会の流れもあってか、医師による診断も増えていったのではないでしょうか。

それから20年・・・ 

 発達障害者支援法の施行と治療薬の承認によって医師の投薬が可能になってから、ちょうど20年近くが経過し、

 2004年以降に生まれた子供たちは、運転免許を取得する年齢になりました。

 そういったことから、冒頭の質問が増えてきているのだと考えます。

 しかし、実際の自動車教習所の現場においては、まだまだ発達障害者に対しての差別と偏見にあふれています。

 発達障害などに対応したプランを提供する自動車教習所(※1)も増えてきましたが、まだまだ少数です。 

 ※1:参考 「運転免許 つばさプラン 全国研究会」

差別と偏見

 「教習所の現場は、発達障害者に対しての差別と偏見にあふれている」と述べましたが、

 実際にどんな差別や偏見があるのでしょうか。

 発達障害だけではなく、特別な事情をお持ちの教習生は、教習所内で情報共有が一般的に行われます。

 「ADHDで適性相談済み(※2)」という情報共有がされた際にあった、実際の現場の声は次の通りです。

 「ADHD? なにそれ?」 「発達障害??頭おかしくなる奴?」

 「注意欠如・多動症だって! 注意もできないし、落ち着きがないの?こんなやつに免許取らせて大丈夫なのかよ」

 こういった声は、教習所の現場で実際にあったものです。

 実は私は、大人になってから医師にADHDと診断された、いわゆる「大人の発達障害」の当事者です。

 「この程度のレベルなんだな」とモヤモヤしながら、現場での声をきいておりました。

 もちろん、その職員たちに悪気はまったくありません。(私が発達障害当事者であることは、社内では公表しておりません。公表していない理由については、私の成育歴が関係しており、今後、記事にする予定です。)

 もしかしたら「つばさプラン」の取り扱いをしている自動車教習所であれば、もっと違うのかもしれません。

 でも、取り扱いをしている教習所は少数派です。

※2:適正相談とは、各都道府県警察に設置されている、「運転免許取得に対して相談を広く受け付ける窓口」への相談のこと

一番つまづくのは「発達障害ではない」教習生?

 教習所における問題は、発達障害への差別や偏見だけではありません。

 もちろん、障害の特性にもよりますが、実は医師からの確定診断を受け、投薬や環境調整が行われている教習生は、案外、大きな壁にぶつからないで無事に卒業することも多いです。

 「18歳になると免許を取る。」

 18歳のイベントというのは、運転免許取得だけなのでしょうか?

 進学する人や就職する人、様々な人がいます。

 高校を卒業すると、親の管理下からは少しづつ離れていく人もいるのではないでしょうか。

 親元から離れ始める時期と、運転免許の取得時期というのは、重なる場合が多いです。

 実はそれが教習所における問題でもあります。

グレーゾーンの問題

 高校生のときは、朝起きれなければ親に起こされ、学校に行かなければ、怒られる。

 そんな人も多いのではないでしょうか。

 今まで、周囲の家族・学校の先生などの支援によって、大きな問題として扱われなかったものが、教習所においては、大きな問題となる場合があります。

 ・時間通りに行けない、予定の管理ができない→キャンセル料金の発生(1時間当たり約5000円が相場)→何度も繰り返す→キャンセル料金が払えない→教習所に来なくなる→教習期限切れ

 ・集中力が続かない→仮免許の学科の試験に落ち続ける(1回あたり1800円で全国統一)→教習期限切れ

 こういったことは、教習所では決して珍しい話しではありません。

 期限が切れても、もう一回通いなおせば?

 実は教習所というのは、未消化分の技能教習や学科教習があっても、解約時の返金額は低いです。

 教習所は、そのビジネスの特性上、入学金が高く設定されている場合があります。

 期限が不足したために、解約をしてから再度通いなおそうとしても、金銭的な負担は非常に多くなってしまうのです。

 周りからのサポートを受け、今までいろいろな壁を乗り越えて生きてきた。

 でも、大人になると発達特性が原因で、様々な困りごとができてしまう。

 大人になって、周囲のサポートから一歩踏み出した時に「最初に出会うのが自動車教習所」という方が多いのです。

 医師からの診断は受けていないし、自分が発達障害だと思ったこともなかった。

 けれども、実は発達特性が生まれながらにあって、今までは周りの人のサポートによって困難を乗り越えてきた。

 いわゆる、グレーゾーンの人が教習所をスムーズに卒業できないという問題があるのです。

メディア立ち上げの理由と目的

自分にできる事

 教習所の職員目線でのお話を上記ではさせていただきました。

 もう一つのキャリアである産業カウンセラーとして活動していると、子供を育てるお母さんからの相談がとても多いです。

 あくまでも私の周りでは、という限定ですが

 「学校の先生から発達障害の可能性を指摘された。病院へ行ったほうがいいのかな?」

 「病院でADHDの診断を子供が受け、服薬を始めた。でも今までの子供の性格がすごく変わった気がするのが辛い」

 「子供に発達特性がありそうだけど、病院にはまだいけてない。障害者としてのレッテルが子供の成長に影響したらどうしよう」

 こういった内容の相談を受けることが比較的多いです。

 相談の中では、私が発達障害の当事者であることを開示することはありません。

 でも・・・

 「自分にできる事はないのか」

 「大人の発達障害当事者だからこそ、できる事はあるのではないか」

 「精神科の受診や投薬に不安を持つ人がいるのではないか」

 関連する情報の発信をすることで、少しでも差別や偏見、精神科領域に対する通院の不安を減らせたらという想いで、賛同する仲間とともに、このブログを立ち上げました。

 また、障害や福祉に関すること以外に、みんなが気になる教習所の事についても、私たちの知識や強みを生かした記事を執筆する予定です。

 教習所に通い始めた人たちが、教習所に関する情報を仕入れるためにこのブログを発見し、そこを入り口にして、障害や福祉に関する事柄に興味を持っていただけたなら嬉しいです。

 そして私たちは、このブログの運営等収益を社会貢献活動の原資とし、福祉の向上やよりよい社会づくりを行っていきます。

 具体的には、「小・中・高・支援学校の生徒を対象とした講演」(多様性に関するものなど)を準備中です。

 ここまで、稚拙な文章をお読みいただきまして、ありがとうございました。

 執筆担当:ぴょん (産業カウンセラー、指定自動車教習所-副管理者、大人の発達障害当事者(ADHD)、精神障害者保健福祉手帳所持)