こんにちは、自動車教習所で現役の副管理者をしている、ぴょんです。

技能教習でマキコミ確認をしているのに、指導員に「マキコミ確認してないよ」などといわれた経験のある方は多いのではないでしょうか?

この記事では、自分では忘れずに確認をしているはずなのに、指導員に「していない」といわれる理由と対策を紹介します。

ぴょん

この記事は以下のような人におすすめ!

マキコミ確認をしているのに、していないと言われる

マキコミ確認のタイミングと方法がわからない

技能検定前に技能検定員による解説を確認したい

教習所に通うようになって、コースで車を運転し、自転車との大きさの違いやスピードに慣れてきたときに増えるのが安全確認。

安全確認の中でも、「マキコミ確認」は車を安全に運転するために必要な基本の一つです。

この記事に書かれている内容を理解し、対策を実践すれば、誰でも簡単にマキコミ確認マスター(笑)になれます。

今回は技能検定員資格を所持し、技能検定員への指導を行っている、指定自動車教習所の副管理者が「マキコミ確認」のポイントを解説!

さらに、教習所の公式では言えない裏技も公開!

ぜひこの記事を最後まで読んで、マキコミ確認を身につけましょう!

それでは、どうぞ!

 今回の記事でできるようになること

・技能教習・検定におけるマキコミ確認のタイミングと方法の理解

・指導員にダメ出しされないマキコミ確認

・「行動療法」の理論を応用したマキコミ確認の練習

マキコミ確認とは?

マキコミ確認ってなに?

マキコミ確認とは、自動車を運転している場面で、交差点を左折する直前に行う安全確認のことです。

左折する直前に、自動車のサイドミラー(ドアミラー)や左後方の部分を自分の目で直接確認(直接目視)する方法によって行います。

技能検定(修了検定・卒業検定等)や技能試験(一発試験)の採点基準では、サイドミラー等の確認を行えば、直接目視による確認をしなかったとしても、減点することはできません。

しかし、自動車のサイドミラー等には、左後方すべての部分が映し出されるわけではなく、ミラーでは確認できない場所が存在します。

この部分を「死角」といい、この「死角」部分にいる二輪車に気づかずに左折を行った場合、自動車の側面で巻き込む形の交通事故を引き起こしてしまいます。

サイドミラー等の死角は車種や運転姿勢等によって異なりますが、教習の場面では、運転席から後部座席の左窓ガラス部分を覗いたときに見える位置とされます。(普通車)

検定や試験の基準では、ミラーを見てさえいれば減点はできません。ですが、教習の場面や検定・試験後のワンポイントアドバイスでは、状況に応じて指導を行います。

正式な名称については諸説あり、「マキコミ(巻き込み)事故防止のための安全確認」や「マキコミ(巻き込み)防止確認」等とされています。

正式な名称としては議論があるものの(そもそも正式名称があるのかについても含みます。)、交差点左折時の事故を防ぐために行う安全確認という点は共通しています。

なぜマキコミ確認が必要?メリット・デメリットとは

なぜ交差点を左折する時に、マキコミ確認が必要なのでしょうか。

左折する前にマキコミ確認を忘れてしまうと、「死角」部分に二輪車がいた場合、交通事故を引き起こしてしまいます。

マキコミ確認を行うメリットとしては、交通事故を引き起こす可能性を低くすることができる、という点があげられます。

一方、デメリットについて、適切な方法で行うマキコミ確認についてはありませんが、不適切な方法(見る位置やタイミング等が違う)で行うマキコミ確認は、逆に危険を生じさせてしまうという点があげられます。

交通事故を引き起こさないためにも、マキコミ確認をし、死角に潜む二輪車がいないかどうかをしっかりと把握することは必要といえるでしょう。

教習では「習慣をつけてもらうため」に直接目視をしてもらう

技能教習の場で重視されるのは、マキコミ確認の「習慣」です。

教習生には「習慣をつけてもらうため」に、ミラーの死角部分を直接目視する方法でマキコミ確認をしてもらいます。

技能検定(修了検定・卒業検定)や技能試験(一発試験)の採点基準では、左折の直前にサイドミラー等の確認を行えば、ミラー死角部分の直接目視確認を行わなくても、減点はできません。

ですが技能教習の場面においては、自分の目でしっかりとミラーの死角部分を確認する、「直接目視によるマキコミ確認」を行わなければ、指導員から「マキコミ確認してないよ」、「マキコミ(確認)忘れてるよ」等と指摘されてしまうでしょう。

検定等の基準では、直接目視による確認が必須ではないのに、なぜ指摘されてしまうのでしょうか。

実は、左折する際に走行している道路の形状や走行位置によっては、死角部分に二輪車の入る余地がない場合があります。

その場合には当然、直接目視による左後方部分の確認は必要ではなく、サイドミラー等の確認だけで十分です。

しかし、歩道幅の広い道路での左折や左折前の車の走行位置(左に寄り切れていない等)によっては、ミラーの死角部分に二輪車等が隠れてしまいます。

技能教習は、限られた時間の中で道路を安全に運転するためのテクニックを詰め込まなければなりません。

時間の制約によって、「この場合はミラーだけで大丈夫」、「この場合は直接目視確認が必要」という解説はできたとしても、実践と確実な定着まではできないのです。

そして、限られた時間で解説をした場合に怖いのが、「勘違い」です。

「ミラーだけでマキコミ確認を行う場合」や「直接目視が必要な場合」を少しでも勘違いされてしまったり、時間の経過で認知がゆがんでしまったりしてしまうと、それが原因で交通事故の当事者にさせてしまうかもしれません。

そのため、教習では「直接目視によるマキコミ確認の習慣」をつけてもらうことによって、直接目視が必要な場面においての確認忘れを防止しているのです。

そもそも、経験が浅かったり、スキルレベルが不足していたりする教習指導員は、上述した直接目視によるマキコミ確認が必要な本当の理由を理解していない場合もあります。

この部分については、「各自動車教習所が契約している法人の、職員研修の担当指導員」(※ペーパードライバー担当ではない)が詳しかったりしますが、別の記事で解説したいと思います。

指導員にマキコミ確認を「していない」と言われる理由 3選

左折前に直接目視によるマキコミ確認をしていても、教習指導員から「マキコミ確認をしていない」と言われてしまう場合があります。

「ちゃんと目視しているのに・・・」とモヤモヤしている方もいるのではないでしょうか。

指導員にマキコミ確認を「していない」と言われる理由について、指定自動車教習所の副管理者をしている筆者が3つほどピックアップして解説します。

見る位置が違う

運転席に座った状態で直接目視によって確認する部分は、「後部座席の左窓ガラス部分」です。

もちろん、ミラー等の死角は車種によって違います。

ですが、教習で多く使用される車種では、後部座席の左窓ガラス部分に死角が生じていることが多く、教習ではその部分を直接目視するように指導する場合が非常に多いです。

指導員が「マキコミ確認をしていない」と指摘する時に多いのは、マキコミ確認時の見る位置が違っている」場合があるのです。

私が普段行う業務は、副管理者としての検定成績表の処理や各種証明書の発行業務ですが、職員の急な欠勤などで技能検定を担当する場合もあります。

修了検定(所内コース)で採点をしていると、「首だけ振っていて目線はまっすぐ」、「助手席(運転席の隣席)の窓ガラス部分を見ている」、「めちゃくちゃ体をひねって真後ろを見ている」という教習生は珍しくありません。

特に「めちゃくちゃ体をひねって真後ろを見ている」というのは、「検定だからしっかりアピールしなきゃ」という想いから「検定の場だから」起こることがあります。

検定の後に教習を担当した指導員に「いつもこうだった?」と聞くと、「そんな変な確認の仕方はしてなかったですよ」という返答が多いです。

ですが、「確認の仕方がおかしかったんですけど、他の部分の矯正に注力したので、そこまで修正できませんでした」という返答があるのも事実です。

修了検定に合格すると、練習のステージは教習所のコースから実際の道路へ移動します。

教習所の路上教習では、指導員が助手席に座るため、マキコミ確認の方法が適切ではなくても事故にはならないです。(指導員が確認するので)

ですが、「めちゃくちゃ体をひねって真後ろを見ている」というような場合は、路上教習の場で矯正指導を行います。

もし、マキコミ確認をするときに「めちゃくちゃ体をひねって真後ろ見てたかも」と気づいた方はラッキーです。

早めに適切な位置のマキコミ確認をできるようにし、教習の時間を他の部分のスキルアップに使えるようにしましょう。

「自分はちゃんとマキコミ確認できているかな・・・」と心配になった方は、教習の前に「マキコミ確認をするときに見る位置があってるか不安なので、違っていたら教えてください」と、担当指導員へ伝えましょう。

そうすることによって、適切なフィードバックが期待できるでしょう。

タイミングが違う

マキコミ確認をする際の適切なタイミングは、曲がりたい交差点から「車約1台分手前の位置」で、「約一車長手前」とも言ったりします。

具体的に言うと、曲がりたい「交差点の手前おおむね5メートルの位置」で、これを私たち教習所の指導員は「左折の直前」と言っています。

さらに重要なのは、その位置で左折の速度(徐行)をつくれている事です。

徐行というのは、運転手が危険を感じてからすぐに停止(おおむね1メートル)できる速度の事を言い、反応速度によって、おおむね時速8キロから10キロ以下の速度と言われています。(学科の問題を解くときは、徐行→おおむね時速10キロ以下でOKです。)

ただ、速度計を見て曲がるわけではありませんので、左折する時に徐行の速度をつくる時は、「普段自分が外を歩く速度」をイメージしてください。

実際の人間が歩く速度は、左折する時につくる徐行の速度よりもさらに遅い速度ですが、車を運転している時に「人が歩く速度」をつくろうとすると、大体、時速8~10キロくらいの速度になります。

マキコミ確認のタイミングが上記の内容から「早すぎ」たり「遅すぎ」たり、確認時の速度が「早すぎ」たりした場合も、「マキコミ確認をしていない」と指摘され、指導の対象になります。

では、なぜマキコミ確認は、曲がりたい交差点の車約1台分手前の位置がいいのでしょうか。

曲がりたい「交差点の手前おおむね5メートルの位置」を基準に、交差点に近づきすぎてしまってから確認するデメリットと、交差点から離れた状態で確認するデメリットについて解説します。

交差点に近づきすぎてしまってからマキコミ確認をするデメリット

交差点に近づきすぎてからマキコミ確認をしてしまうと、確認をしてから再度前を向いた時に、交差点の形状や左側の縁石が見えません

車種や体格、運転姿勢によって異なりますが、一般的な教習車で運転席から見た時の前方の死角(ボンネット下)は、おおよそ4メートルといわれております。

例えば、交差点から3メートルや1メートルの位置でマキコミ確認をしてしまうと、前を向いた時に左側の縁石が見えず、交差点の形状がわからない状態でハンドル操作をしなければなりません。

そうすると左折が大回りになってしまったり、最悪、縁石に乗り上げてしまったりしてしまいます。

交差点から離れた位置でマキコミ確認をするデメリット

交差点から離れた位置でマキコミ確認をしてしまうと、確認をしてから交差点へ近づく間に、二輪車等が車の左側の位置に入り込んでしまう可能性があります。

その場合、左折時に二輪車を巻き込んでしまうリスクが高くなり、危険です。

また実際の検定では、例えば曲がりたい交差点から10メートル手前(約車2台分手前)でマキコミ確認をした場合、交差点に近づいてから、再度マキコミ確認を行わなければ「安全不確認」の減点を適用できます。

マキコミ確認をするタイミングは交差点に近づきすぎても、離れすぎてもダメなのです。

指導員のうっかり

極めて珍しいことですが、教習指導員が教習中に意識を違う方向に向けており、しっかりと教習生の運転操作を観察していないと「マキコミ確認をしていない」と言ってしまう場合があります。

教習指導員も人間です。

公式では言えないことなのですが、人間である以上、疲れていたり、集中していなかったりすることもあるのです。

適当そうな(教習中に寝ていた等)教習指導員から、教習中には何も言われなかったのに、最後にマキコミ確認をしていない等と言われた場合は、とりあえず最後に何か言っておくかという事で指摘している可能性があります。

以前、教習生から「教習中に寝ていた指導員から最後に指摘があったけど、寝てたのに指摘できるんですか?」という旨のクレーム対応をしたことがあります。

担当の指導員に確認したところ、「寝てはいなかったけど、あまり見ていなかったかもしれない」ということでした。

この例は極めて珍しいことで、通常はこのような例はありません。(極めて珍しいとしておきます)

教習項目の都合上(みきわめや各段階の終盤の教習項目等)で、教習の前半部分では多くの指摘を行わず、教習の中盤や終盤に指摘を行うことは普通にあります。

教習中には何も言われなかったのに、最後に指摘をされた場合であっても、全てが教習指導員のうっかりではないことには注意が必要です。

余談ですが、「教習指導員」と「技能検定員」の資格は別物です。

私たち技能検定員は、「検定中は」神経が磨り減るほどに集中して観察等を行います。

もしマキコミ確認についての指摘が、検定後のワンポイントアドバイスの場面でしたら、正確な場合が多いです。

アドバイスを受け止め、更なるスキルアップに役立てましょう。

指導員にダメ出しされない対策

タイミングと方法の理解

指導員に「マキコミ確認をしていない」とダメ出しされないためには、適切なタイミングと方法でマキコミ確認を行うことが大切です。

そのため、本記事で解説したマキコミ確認の正しいタイミングと方法を確認し、しっかりと理解しましょう。

正しいタイミングや方法については、本記事の「タイミングが違う」や「見る位置が違う」を確認しましょう。

時計を使った練習方法

正しいタイミングや方法という理論を理解していても、なかなかできない場合もあります。

そんな時におすすめなのが「行動療法」の理論を応用した、時計を使った練習方法です。

1・2秒目:前 、3・4秒目:左後ろ

と、マキコミ確認の際に必要な行動を繰り返すことによって練習ができます。

友達がいれば、友達に時計の秒針が進むごとに「イチ、ニ、サン、シ」と声に出してもらったり、

どうしても一人で行いたい場合は、音楽系の練習に使うメトロノームアプリで60BPMのテンポで音を出すなどすると楽に練習ができます。

上記の方法で慣れてきたら

1秒目:前 、2秒目:前 、3秒目:左後ろ 、4秒目:前

と、より実践向きのパターンで練習をしてみましょう。

裏技テクニック

実は、マキコミ確認について「教習指導員や技能検定員を騙す裏技」があります。

それは、確認動作の際に「アゴをピタっと止めること」です。

どういうことかというと、マキコミ確認をするときに、左後ろのほうを向いた角度で一瞬アゴの動きをピタっと止めます。

なんとそうすることによって、助手席に座っている私たちから教習生の動きを観察したときに、マキコミ確認をしているように見えるのです。

逆に言うと、顎が止まっていない確認の仕方だと「ちゃんと見ているのかな?」という印象を持たれてしまいます。

前を向いている状態から後ろを向き、再び前を向く。

この一連の流れについて、顎を止めないでやってみると、景色が流れてしまい、必要な情報が見えにくくなってしまうのです。

ここでの注意点は、ずっと裏技に頼り切らない事です。

この方法だと、目線が必要なところ(ミラーの死角)になくとも、ぱっと見で安全確認ができているように見えます。

マキコミ確認がなぜ必要なのかという趣旨を考えると、ずっと裏技を使ったままではいけません。

修了検定に合格して、路上教習を開始するようになったら、必ずミラーの死角を確認してから左折をしましょう。

他の注意点としては、ごく少数の教習所では、フロントガラスに運転手の目線を確認するアイミラー(小型の鏡)を設置している場合もあります。

その場合は、この裏技を見破られる可能性があります。

あとは指導員が裏技を疑い、教習生の目線に注目する場合等も裏技を見破られる可能性があります。(とはいっても、顔のサイドに骨格を隠す前髪のある女性の教習生や夜間の教習等の場合、目線を追えないことも多いです。)

実際に死角部分をしっかりと確認できるようになっても、教習所では「アゴをピタっと止める」というテクニックは多くの場面で活用できます。

マキコミ確認だけではなく、進路変更時の確認など、その他の安全確認の時にも使えるテクニックです。

教習所だけでしか役に立たないテクニックですが、是非覚えておきましょう。

この記事のまとめ

まとめ:マキコミ確認していない」と言われる原因と対策

不適切なタイミングと方法による確認はダメ出しの原因に

マキコミ確認の適切なタイミングと方法を理解しよう

マキコミ確認のタイミングは曲がりたい交差点の車1台分手前

歩くくらいの速度で後部座席の左側窓ガラス部分を自分の目で直接目視

確認する時はアゴをピタっと一瞬止めよう

時計を活用したマキコミ確認の練習も有効

今回は、教習指導員にマキコミ確認を「していない」と言われる原因と対策について、紹介しました。

適切なタイミングと方法でマキコミ確認を行えば、ダメ出しされることもないですし、免許取得後も安全運転をおこなえるでしょう。

「マキコミ確認が苦手だな」と思っている方は、是非、この記事で紹介した「時計を活用した練習方法」を参考に、練習をしてみてください。

以上、最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。